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事業承継の相談先5選|それぞれの特徴・メリットも

2022.12.08

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高齢化が急速に進む近年、中小企業や比較的小規模な事業の経営者の高齢化に伴い、「後継者に会社の経営権を引き継がせよう」と考える経営者も多くいます。会社の経営権を後継者に引き継がせることを「事業承継」といい、これまで大切に育ててきた会社を守るためには重要な手段となっています。

しかし、事業承継を進めるにあたっては、複雑な手続きが必要となるだけでなくあらゆる課題も見えてくるでしょう。加えて、専門性の高い知識を要することから、頼れる相談先を見つけておくことは非常に大切です。

そこで今回は、事業承継に関する代表的な相談先から、相談先を選ぶ際のポイントを紹介します。事業承継を進めたいものの、どこに相談するとよいか分からないという経営者の方は、ぜひご覧ください。

目次

1.事業承継に関する5つの相談先|特徴・メリットを解説

事業承継に関する相談を受け付けているところには、さまざまな種類があります。相談先によって、どのような悩みや課題を相談できるのか・どのようなサポートを受けられるのかが異なることも特徴です。

事業承継を円滑に進めるためには、まず「自分が求めているサポート」を明確にしてから、最適な相談先を選ぶことが欠かせません。

事業承継に関する相談を受け付けているところには、下記が挙げられます。

  • 事業承継・引継ぎ支援センター
  • 商工会議所
  • 金融機関
  • 事業承継専門のコンサルティング会社
  • 弁護士・税理士などの士業

ここからは、それぞれの相談先の特徴やメリットを詳しく説明するため、相談先選びのヒントにしてください。

1-1.事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターとは、全国の都道府県に設置された事業承継に関する公的な相談窓口です。後継者不在の企業と事業承継による譲り受けを希望する事業者とのマッチングや、事業承継に関する課題の解決に向けたサポートを行っています。事業承継に関するサポートにおいては、親族内承継・第三者承継(M&A)などあらゆる相談に対応しています。

公的機関である事業承継・引継ぎ支援センターへの相談は、「公平なアドバイスを受けられる」という点が最大のメリットです。また、ケースによっては「事業承継税制」といった特例措置・優遇制度の情報提供もしてくれるでしょう。基本的に相談料は無料で、数回にわたる営業を受けることもないため、資金や時間に余裕がない経営者にとっては魅力的な相談先となるでしょう。

参考:事業承継・引継ぎ支援センター

1-2.商工会議所

商工会議所とは、地域の中小企業や個人事業主に対してあらゆるサポートを提供する中小企業団体です。経営相談や労務相談のほか事業承継に関する相談対応も実施しており、中小企業診断士からのアドバイスを受けられたり、弁護士や税理士といった各専門家をつないでくれたりします。

地域の商工会議所に入会していれば、このような相談サービスをほとんど無料で受けられる点がメリットです。加えて、M&A仲介業者のあっせんも行うため、後継者が見つかっていないという方にとっても頼れる相談先となります。なお、商工会議所への入会には年会費として2~3万円が必要な点や、地域の商工会議所によって取り組みが異なる点に留意しておきましょう。

参考:日本商工会議所

1-3.金融機関

事業承継に関する相談は、普段から関わっている取引先の金融機関もおすすめです。取引先の金融機関であれば長年の付き合いがあるゆえに相談しやすいでしょう。金融機関によっては「事業承継セミナー・相談会」を開催している場合もあるため、一度参加してみることもおすすめです。

また、事業承継をいずれするのであれば、金融機関の担当者に伝える必要があります。そのため、あらかじめ話を通しておいたほうが後々スムーズに手続きが進むだけでなく、事業承継に関するさまざまな知識を得ることも期待できるでしょう。

なお、金融機関が提供するサポートはあくまでも相談対応であり、M&A仲介業者のあっせんや税務に関する依頼を求めるのであれば別の相談先のほうが適切となる点に注意が必要です。

1-4.事業承継専門のコンサルティング会社

事業承継専門のコンサルティング会社には、事業承継に詳しい専門家が集結しています。「事業承継を検討している」だけの段階であり、具体的にどのような点が課題となっているかすら分からないというケースでは、あらゆる事業承継の実績を誇る専門のコンサルティング会社への相談がおすすめです。

事業承継専門のコンサルティング会社は、事業承継はもちろん、M&Aに関する実績も豊富な傾向にあります。あらゆる業界の事例があるコンサルティング会社の場合、事業内容やリスクをしっかりと理解したうえで話を進めてくれるでしょう。

1-5.弁護士・税理士などの士業

ここまで紹介した事業承継に関する相談先のなかには、結果として弁護士・税理士などの士業につないでくれるというケースも多々あります。特に商工会議所や金融機関は、このような傾向が強くあるでしょう。それなら、あらかじめ士業に直接相談することも1つの方法です。

事業承継に関する相談に対応する士業には、下記が挙げられます。

  • 弁護士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 中小企業診断士

ひとくちに士業といっても、それぞれ有している知識やサポート範囲は細かに異なります。例えば、税務に関する専門知識を有する税理士へ相談すれば、事業承継の基本的なことに関してはもちろん、相続税・贈与税などの税金対策についてのアドバイスを受けることも可能です。

事業承継の実施に関して専門的な知見にもとづき支援してくれる専門家(士業)についてより詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。

資金繰り表とキャッシュフロー計算書の違い・作り方

事業承継で頼りになる専門家6選|サポートが必要になる理由も

続きを読む >

2.事業承継に関する相談先を選ぶ際のポイント4つ

事業承継について相談を受け付けている機関・専門家・企業は、非常に数が多いことが特徴です。選んだ相談先によって、サポートで得られる満足度も大きく異なるため、「自社の経営状態や考えられる問題・リスクに適した相談先選び」は最も重要と言えるでしょう。

そこで次に、事業承継に関する相談先選びのポイントを4つ紹介します。

2-1.事業承継の実績を確認する

事業承継を希望する企業の経営状態や資産、さらに法務的リスクはそれぞれ異なります。そのため、事業承継を進めるにあたって予測できなかった事態が発生する可能性も十分にあるでしょう。このようなケースにおいて、臨機応変に適切な対応ができるかどうかは、相談先の実績が大きく関係します。

そのため、事業承継に関する相談先を選ぶ際は、なるべく実績の豊富さをチェックするとよいでしょう。実績はその相談先の公式ホームページに記載されていることがほとんどですが、より詳しく知りたい場合は、「これまでどのような事例に対応してきたか」と詳しく質問することもおすすめです。

2-2.税理士・弁護士との連携状況を確認する

事業承継の手続きを進めるにあたっては、法務的・税務的なリスクに直面することもあります。そのため、各リスクについて熟知した専門家の存在は欠かせません。事業承継の相談先を選ぶ際は、必要に応じて各専門家へ相談できるのかを事前に確認しておきましょう。

事業承継の相談先は、公式ホームページにて専門家と連携していると記載することもあります。しかし、実際には必要なタイミングですぐに専門家のサポートを受けることができない環境にある可能性もあるため、最初の問い合わせ時点で連携状況をしっかり質問しておくとよいでしょう。

2-3.無料相談ができるか確認する

事業承継に関する相談は多岐にわたり、進めていくにあたってさらなる課題が生じるものです。そのため、1回の面談ですべての悩みを相談でき、かつ課題を洗い出せることはまず考えられません。

一度の面談を終えた後に「追加で相談したい」という状況となったとき、費用が発生するとなれば相談することを躊躇してしまうでしょう。そのため、あらかじめ何回でも無料相談のできる相談先を選んでおくことがおすすめです。

2-4.担当者との相性を確認する

事業承継を円滑に進められるか、そして成功させられるかは、相談先の担当者との相性も大きく影響します。相談先のサポート範囲における条件がどれほどよくても、担当者との相性が悪く、自社の事業内容や自身の心情に寄り添ってくれない限り、よい結果をもたらすとは考えられません。

そのため、最初の問い合わせや相談時点で担当者の人柄についてはきちんと確認しておくとよいでしょう。誠実に向き合ってくれるような相性のよい担当者が見つかるまで、多くの相談先に問い合わせながら根気よく探すことが大切です。

まとめ

事業承継を進めるにあたっては、複雑な手続きが必要となるだけでなくあらゆる課題も生じます。加えて、法務的・税務的リスクに対応する専門的な知識を要することから、頼れる相談先を見つけておくことが重要といえるでしょう。

事業承継に関する相談先には、「事業承継・引継ぎ支援センター」「事業承継専門のコンサルティング会社」「士業」などが挙げられます。それぞれ相談できる内容や得意とするサポート範囲はもちろん、考え方も異なるため、事業承継に関する漠然とした不安を抱えている場合はまず悩みを明確にしておくことが大切です。

また、事業承継に関する相談先を選ぶ際は、紹介したいくつかのポイントをおさえておきましょう。ここまでの内容を参考に、ぜひ自社に適した相談先を選んでみてください。

(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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