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2020年代人事評価制度のトレンドは?傾向と導入のメリットデメリットも解説

2022.09.30

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人事評価制度の導入や見直しの際に、トレンドを取り入れるべきか悩む方も少なくないでしょう。近年は、ジョブ型で社員の行動を中心に評価する方法がトレンドになっています。時代の流れに合わせて、人事評価の過程をオープンにする企業も増えています。

当記事では、人事評価制度のトレンド傾向、トレンドの評価手法、導入のメリット・デメリットをご紹介します。社員はもちろん、企業にとってもメリットのある人事評価を取り入れたい企業の上層部・人事部の方は、ぜひ当記事をお読みください。


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目次

1.人事評価制度のトレンド傾向は?

人事評価制度とは、企業が定めた評価基準や評価方法に沿って、社員の能力や行動、執務態度などの評価を可視化する制度です。人事評価の内容や手法、評価者のスキルによっては、社員のモチベーションアップや人材育成、企業の売上アップを期待できます。

1-1.ジョブ型の人事評価制度を導入

ジョブ型雇用人事制度とは、企業が必要とする職務(ジョブ)に合う人材を採用、配置、育成し、その職務の価値に応じて報酬を定める制度です。社員に与える職務は担当する仕事・役割を意味することから、役割主義とも呼ばれます。

近年日本では、従来の終身雇用を前提としたメンバーシップ型から、人材の業務内容や責任などに応じて評価をするジョブ型に移り変わりつつあります。ジョブ型へ移行しつつある理由としては、多様な働き方が求められる時代に移ったためです。

従来のメンバーシップ型とジョブ型では、社員に求められるスキル・社員の配置方法に違いがあります。メンバーシップ型では、まず人材を採用した上で適性を見極め、配置を決めるという方法をとっていました。一方のジョブ型は職務に対して適切な人材を配置する方法のため、人材には最初から経験やスキルなどが求められるケースもあります。

1-2.「行動」を基準に評価

従来の人事評価制度は、社員がもつ能力やスキル、勤続年数、成果などを基準に評価をしていました。しかし、業務によっては成果が出にくい、重要業務を担当しても成果が出ないといったケースもあり、その場合は社員を適切に評価できないことから「行動」にフォーカスして社員を評価するのが主流となりました。

行動評価とは、被評価者である社員が職務を遂行するためにとった行動を評価するもので、コンピテンシー評価とも呼ばれます。行動評価は成果よりもプロセスに重きを置いていることが特徴です。行動評価は社員の自主的な成長を促せる他、成果や業績を評価に連動させやすく、評価の指標のブレを防ぐことができます。

1-3.リアルタイム評価の実施

ビジネスの環境や変化のスピードが早くなり、人事評価にもスピード感を求められることから、状況に応じた評価を即時行えるようリアルタイム評価が実施されるようになりました。

リアルタイム評価とは、マネジャーにあたる上司などが社員の仕事への取り組み方や目標の達成度などに対し、即時にフィードバックを行う評価方法です。リアルタイム評価は、リアルタイムフィードバックとも呼ばれます。1on1などのコミュニケーションを通じて、社員が進むべき方向を具体的に示せるため、社員は成果につなげやすくなります。

また、定期的な面談・フィードバックを望む社員も多く、企業の目的達成につながることからリアルタイム評価を取り入れている企業は多いです。

1-4.評価の見える化を推進

近年は、人事評価の基準や過程、結果を被評価者にも公開する、人事評価の見える化が推進されています。人事評価の見える化は、公開型評価とも言われています。

人事評価の見える化が実施されるようになった背景は、社員の不信感を取り除くためです。人事評価は社員の報酬などと密接な関係にあり、特に評価の過程が不透明な場合、結果によっては社員に適切な評価が行われていないと感じさせる恐れがあります。

しかし、人事評価の評価基準や過程を透明化し、被評価者である社員に公開することで、社員は評価の結果に納得感を得やすくなります。また、改善すべき点が分かるため、社員はモチベーションの維持・向上が可能です。

2.実際に導入されているトレンドの評価手法は?

企業に人事評価制度を導入する際は、企業の目的・方針や現状を押さえた上で、近年の傾向を踏まえてトレンドになっている評価手法を選びましょう。

ここでは、実際に導入されているトレンドの評価手法を4つ紹介します。それぞれメリット・デメリットが異なるため、企業の課題と照らし合わせて適切な手法を見つけてください。

2-1.ノーレイティング

ノーレイティングとは、リアルタイムで目標の設定と評価(フィードバック)を行う評価手法です。従来の人事評価制度と異なり、人事評価において社員にランクをつけることはありません。

ノーレイティングを導入するメリットとして、社員への評価がすぐに行えることが挙げられます。社員の行動に対するフィードバックを都度行えるため、今後社員がとるべき行動に具体性も生まれるでしょう。一方で、従来の人事評価とは違い、状況に応じて目標が変わるため、社員の目標や課題が分かりにくくなり、現場に混乱を招く恐れがあります。

2-2.360度評価

360度評価とは、上司・同僚・部下といった立場に関係なく、仕事上で関わる社員すべてが一人の社員に対して評価を行う手法です。さまざまな角度から社員を評価できるため、公平性の高い評価方法と言えます。

360度評価は、評価に客観性が生まれる他に、社員の主体的な改善を期待できる点がメリットです。デメリットとしては、上司が自分の高評価を求めるあまり、部下への指導が甘くなることが挙げられます。

2-3.バリュー評価

バリュー評価とは、企業の経営方針に基づく価値観や行動規範に対して、社員はどの程度達成できたのかを評価する方法です。顧客ニーズの多様化など、急速なマーケティングの変化に対応するため、導入している企業は多く存在します。

バリュー評価のメリットは、企業と社員の足並みを揃え、組織力を強化できることです。社員一人ひとりが企業と同じ方向を向いて業務にあたるため、生産性の向上も期待できます。一方で、バリュー評価には明確な評価基準がなく、複数の評価者を要することから、人によって被評価者の評価が大きく異なるというデメリットがあります。

2-4.ピアボーナス

ピアボーナスとは、専用サービスを使って社員同士で感謝を伝えたりポイントを贈り合ったりする仕組みです。企業によって方法は違いますが、貯まったポイントは商品や特典、手当として受け取ることができます。

ピアボーナスは、贈った回数分コミュニケーションが発生するため、チームなどとの関係性の構築につながります。社員同士で良好な関係を築けると、社員のモチベーションアップにもつながり、結果として企業も大きなメリットを得られる手法です。ただし、評価は社員が行うため、活躍が目立ちやすい部署に評価が集中するリスクがあります。

3.人事評価制度にトレンドを取り入れるべき?メリットとデメリット

人事評価制度にトレンドを取り入れることには、メリットもあればデメリットもあり、両方を検討の上で自社に最適な評価方法を選ぶことが大切です。企業の状況も鑑みて、よりメリットを感じられる人事評価を導入しましょう。

ここからは、人事評価制度にトレンドを取り入れるメリットとデメリットについて解説します。

3-1.トレンドを取り入れるメリット

人事評価制度にトレンドを取り入れると、以下のようなメリットを得られます。

・企業の生産性が向上する

たとえば、短時間勤務や在宅勤務などの多様な働き方に対して柔軟な対応ができる方法を選択すると、社員の満足度や仕事へのモチベーションが高まります。働きやすい環境により社員の仕事に対する意識が高まれば、生産性の向上につながるでしょう。

・人材獲得のための競争力がつく

人材不足の原因として、自社にアピールできる魅力が少なく、求職者からの応募に至らないことが挙げられます。人事評価制度にトレンドを取り入れることで、自社の魅力が増えれば求人情報の充実や他社との差別化につながり、結果として人材を獲得しやすくなります。

3-2.トレンドを取り入れるデメリット

人事評価制度にトレンドを取り入れることで、次のようなデメリットを感じるケースもあります。

・ベテラン社員から反発を受ける可能性がある

従来の人事評価制度に慣れているベテラン社員にとって、トレンドの導入はモチベーションの低下を引き起こす可能性があります。評価ポイントの変更に着いていけず、離職となるケースも珍しくありません。

・社員からの不満につながる恐れがある

評価方法によっては、適切に評価されていないと感じる社員もでてきます。社員が評価に不満を感じた場合もモチベーションの低下につながり、結果として企業に大きな損失を与えかねません。

社員の不満を解消するためには、企業の状況だけでなく現場で働く社員の声を聞くことが重要です。社員の生の声を聞くことで、企業の課題も見えてくるでしょう。また、評価者のスキルアップによって被評価者からの納得を得やすい状況を作ることも有効です。

まとめ

人事評価制度は時代の変化によって、注目される制度も変わります。2020年代人事評価制度のトレンドは、ジョブ型の人事評価制度やリアルタイム評価などです。実際に人事評価制度に導入されているトレンドの評価手法としては、ノーレイティング、360度評価、バリュー評価、ピアボーナスがあり、それぞれ異なる特性をもちます。

人事評価制度にトレンドを取り入れる際は、メリットとデメリットの両面を理解した上で、自社の方針や課題などに適した方法を選ぶことが重要です。また、社員の納得を得やすい環境を整えて、企業の経営改善に向かいましょう。

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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