自社や社員を見て、「一から十まで指示せずとも、自分で考えて動くようになってほしい…。」
と感じられている方は少なくないことと思います。本日はそんな「自走型組織づくり」の必要性とポイント(勘所)についてお伝えします。
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目次
1.賃上げによる社員モチベーションアップ策の落とし穴~自分がいくらもらっているのか“も”知らない?
とある支援先で評価制度の構築を進めることとなり、全社員との個別面談を実施したときのことです。
事前のアンケート調査で多くの社員が「給与に不満」と回答されていたのですが賃金台帳を分析してみたところ、実は、この企業の賃金水準は他企業平均(同規模・同業種・同エリア)を十分に上回っていることが判明しました。
社員面談に際し、各社員の賃金データをあらかじめいただいていましたが、私はあえてお一人ずつに「今いくら給与が支給されていますか?」と聞いてみました。
すると、私としては大きな気づきになったのですが──、
男性社員の半数以上が、総支給額も諸手当の内容も正確に回答できず、当時支給されて間もない賞与の金額についても具体的に答えることができませんでした。
この結果に、どの社員も真面目に頑張っているものの、根深い先入観や固定観念、またその根底にある拭えない依存体質や、組織に無意識にぶら下がっている感覚のようなものを感じたのです。
このような企業において「賃上げ」は意欲動機付けにも、ましてやイノベーションにもつながらず、単なるコストの増加で終わってしまうことでしょう。
2.当事者意識=「自分自身のコストを知る」
どの社員も、自社の経営について「意見」は持っているものです。
しかし、利益率アップ・経費削減・業務効率化などさまざまなご意見をいただけたとしても、その根底に「他責・他人事・依存」の価値観があれば改善活動が実行に至ることはありません。
「およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのはコストセンターである。技術、販売、生産、経理のいずれも、活動があってコストを発生させることは確実である。しかし成果に貢献するかはわからない。」
出所:『創造する経営者(ドラッカー名著集6)』
著:ピーター・F・ドラッカー/ダイヤモンド社
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当事者としてコストを語るなら、自分自身のコストを知る必要があります。
その上で「給与を我慢する(=人件費コストを抑制する)」発想ではなく、
「高い給与を勝ち取りたい」と強烈な意欲を持っていただくことこそが、
「自立」であり経営者感覚を磨く、第一歩であると私は考えています。
3.社長の高齢化と業績悪化の関連性
東京商工リサーチが2009年以降レポートを発表している「全国社長の年齢調査」。
最新レポートにあった見出しは「高齢の社長ほど業績悪化が鮮明に」でした。
高齢化が進んでいることは周知のとおりなのですが、「社長年齢別 業績状況」のグラフは少しばかり衝撃を伴うデータです。
「増収」「増益」企業が多い。すなわち成長している。
40代の社長は
「黒字」「前期黒字」「連続黒字」割合が高い。安定化する。
60代・70代の社長は
「減収」「減益」「赤字」「前期赤字」「連続赤字」割合が高い。
つまり、社長の高齢化と業績不振の関連性が示されていたのです。経営者にも「体力曲線」が存在するというわけです。
ここから我々が読み解くべき本質は、決して「社長の高齢化」ではなく、「経営者の分身をつくれ」というメッセージであり、いかに社員の皆さんに自立していただき、自走型組織を創造・実現していくかが問われている……ということです。
4.「教育」としての情報公開
その自走型組織へ転換するために、外してはならない6つのキーワードがあります。
- 1)経営参画
- 2)モノサシ
- 3)完全実施
- 4)管理者・リーダー
- 5)情報公開
- 6)評価
この中で経営者がすぐにでも着手できるのは、情報公開です。目標を達成に導くマネジメントのための情報公開は工夫と手間が必要ですが、自社の現状を正しく伝えること(危機感の共有)も自立に向けた一つのきっかけです。
内部の情報に加えて我々を取り巻く世の中の環境(外部の情報)も発信すること、
そして「給与の上げ方」といった原理原則も知らせること。
正しい情報公開は、社員の価値観にダイレクトに影響を与える「教育」でもあります。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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