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所得拡大促進税制の改正ポイント

2020.02.18

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働き方改革の影響で、人件費が昨年より多くなっている企業も多いせいか、経営者の皆様と人件費についてお話しする機会が増えています。

さて、皆様は『所得拡大促進税制』をご存じでしょうか?

平成30年度に大きな変更がありましたので、ご紹介します。

目次

所得拡大促進税制とは

『所得拡大促進税制』とは文字どおり所得にまつわる税制で

「青色申告の届出をしている中小企業者等が一定の条件を満たした上で前年度より給与等の支給額を増加(1.5%以上)させた場合、その増加額の一部を法人税から税額控除できる」というものです。

わかりやすく表すと、このような計算式になります。

(今年度給与等支給額-前年度給与等支給額)×15%=税額控除額
※ただし、税額控除額は調整前法人税額の20%が上限

所得拡大促進税制の変更点

この『所得拡大促進税制』ですが、平成30年度の改正で大きな変更がありました。

細かな変更点は色々とありますが、今回お伝えしたい大きな変更点は、以下の2つです。

【1】計算の基礎となる給与等支給額の比較対象が、基準年度(平成24年4月以降に開始する事業年度)から前年度へ変更された。

例えば

  • 平成25年3月決算給与等支給額3,000万円
  • 平成30年3月決算給与等支給額4,000万円
  • 平成31年3月決算給与等支給額4,200万円

と仮定すると、諸条件を満たした場合の税額控除額は、改正前後で下記のようになります。

<改正前>(4,000万円-3,000万円)×10%(改正前の率)=100万円

<改正後>(4,200万円-4,000万円)×15%=30万円

特に、新規設立法人の場合は、規模の拡大や人員増加にともない年々給与総額が高くなるため、控除額も非常に多かったかと思います。

しかし、改正後は差し引く対象が前年度となるため、以前よりも控除額が少なくなる可能性があります。

【2】(今年度給与等支給額-前年度給与等支給額)×15%に関して、一定の要件を満たした場合、25%に上乗せする措置が設けられた。

「一定の要件」とは、下記(1)(2)を指します。

(1)前年度より給与等の支給額が2.5%以上増加していること

(2)上記(1)に加えて、下記いずれかの条件を満たしていること
イ.「教育訓練費」の額が、昨年対比で10%増加していること
ロ.認定を受けた「経営力向上計画」に従って経営力向上が確実に
行われたことにつき証明がなされていること

(2)イ.の「教育訓練費」とは
「国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用で一定のものを指す」とされています。

非常に抽象的でわかりにくいため

  • どういった研修内容が対象となるのか?
  • 自社で研修を行った場合は対象となるのか?
  • 資格を取得した場合も対象となるのか?
  • 助成金を受け取っている場合は対象となるのか?

このように色々な疑問が出てきます。

これらは国税庁によるQ&A集を見ながら、個別に確認・精査する必要があります。

この『所得拡大促進税制』は間口が広いため、活用されている企業も多いでしょう。

税制改正前は、給与額を集計するだけでしたので、エクセルや給与計算ソフトを活用すれば簡単に確認できました。

しかし、税制改正後は上乗せ措置を適用するためには、研修内容を2年分精査する必要があるなど、相当な手間と時間を要します。

新たにこの税制を活用する方も、改正後も継続して活用する予定の方も、早め早めに顧問税理士の方にご相談されることをおすすめします。

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この記事の著者

NBC税理士法人

「縁のあったお客様は絶対に倒産させない。」という志のもと、税務面、経営の全般的なサポート業務を行っています。顧客訪問数1200社以上のノウハウをもとに、会計監査などの税務相談や、事業承継、新規開業、相続などさまざまなノウハウを配信しています。