皆さんもよくご存じの「ふるさと納税制度」。2008年の国会で可決され2009年よりスタートしてから10年が経過しました。
このふるさと納税には広告料や手数料など様々な費用がかかっています。
またふるさと納税制度のメリットやデメリットもありますので、今回はふるさと納税について解説します。
目次
自治体による熾烈な寄付獲得競争がメディアを賑わせていますが、寄付金の10%以上がポータルサイトといった仲介業者に「手数料」などとして支払われていることをご存じでしょうか?
「ふるさとチョイス」「さとふる」「楽天ふるさと納税」などその数はいまや10を超えます。
自治体が寄付を集めるのにこれらポータルサイトは欠かせませんが、そのサービスはもちろん「タダ」ではありません。
ふるさと納税にかかる費用
手数料
まずは「手数料」。
自治体は、寄付の金額に応じて10%程度の手数料をポータルサイトの運営会社に支払います。
広告料
手数料に加えて「広告料」もあります。
ポータルサイトの会員に送られるメルマガなども自治体がお金を出して「枠」を買っている「広告」です。
本来は、自分の住む街に納めるはずの税金を好きな自治体に寄付できる「ふるさと納税制度」。
豪華すぎる返礼品が問題視されていることは皆さんもご存じでしょうが、
制度の目的である自治体支援とは異なるところにお金が流れているというこの「手数料」問題も知っておくべき事実と言えるでしょう。
ふるさと納税制度のメリット・デメリット
加えて知っておきたいのが、ふるさと納税制度のメリット・デメリットです。
減税・節税ではない
例えば、ふるさと納税制度は『減税・節税』と思われがちですが、実はそうではありません。
ふるさと納税制度は、住民税を移転するという考えのもとに生み出された制度であり「税金が安くなる」わけではなく、実際には支払う先を変えているに過ぎないのです。
しかし、自分の住む街に納めるだけの住民税も、ふるさと納税制度を活用することで、寄付金に応じた返礼品をもらうことができます。
自己負担額の2,000円だけで特産品を買ったと考えればプラスといえる側面も確かにあります。
寄付金は還付されるわけではない
また、ふるさと納税制度は、寄付金が還付されるわけではなく、寄付金を支払った分、支払うべき税金が控除される仕組みということにも留意が必要です。
つまり、納税額が寄付金よりも少なければ損をしてしまうという点です。
控除額に上限あり
控除される額には上限額があり、収入に応じて変わります。実際の上限額がわかるのはその年の12月31日です。
しかし、ふるさと納税制度はそれまでに寄付をしておかなくてはならないため、
上限額にゆとりを持っておかないと損をする可能性が生じるのです。
また、その上限額は単に年収だけではわからず、収入の種類・扶養の人数・保険料や医療費の支払い額によって変わります。
実際に自分の上限額を知るには、シミュレーターで試算したほうが無難でしょう。
上限額を超えた額は控除を受けることができないため、どうしても限度額内に収めたいという場合は、試算で出た限度額から1~2割ほど抑えた額に収めるようにすると良いのではないでしょうか。
年の瀬も迫り、締め切り間近となった「ふるさと納税制度」。ぜひ制度の主旨・仕組みをしっかり理解し、有効活用いただければと思います。
また2016年4月、内閣府によって創設された「企業版ふるさと納税制度」は法人を対象とした制度であり、個人向けの「ふるさと納税制度」とは対象・内容が異なります。
仕組みなどについて興味を持たれた方はぜひお問い合わせいただければと思います。
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この記事の著者
NBC税理士法人
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