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差額500万円!?~消費税計算法で、賢く税率改正を乗り切る~

2019.09.03

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この記事の著者

NBC税理士法人

「縁のあったお客様は絶対に倒産させない。」という志のもと、税務面、経営の全般的なサポート業務を行っています。

いよいよ10月1日から、消費税の税率が10%となります。

以前、税率が5%から8%に変わった際、決算時に納付税額の高さに驚いた方も多いのではないでしょうか?

税率が変わる今年、後で驚くことがないよう納付税額のシミュレーションを普段から行っておくことが重要です。

そこで、今回は消費税の計算方法についてお伝えします。

INDEX

消費税の計算方法

消費税の計算方法は、大きく分けて3つあります。

  • [1]全額控除方式
  • [2]個別対応方式
  • [3]一括比例配分方式

※売上規模が5,000万円以下の事業者の方に適用される「簡易課税制度」については、今回は割愛させていただきます。

基本的に消費税の計算方法は、売上で預かった消費税から仕入(※1)で支払った消費税を差し引いて納付します。

上記3つとも、売上に対する消費税の計算方法は同じなのですが、仕入に対する消費税の計算方法が異なります。それぞれの計算方法について細かく見ていきましょう。

[1]全額控除方式

支払った消費税額をすべて差し引く方法です。
次の2つの要件を満たす事業者が適用可能となります。

  • 課税売上割合(※2)が95%以上
  • 課税売上高が5億円以下

[2]個別対応方式

仕入にかかる消費税を、消費税が課税される売上/非課税となる売上に紐づけて個別に確認し、消費税が課税される売上に対応するものを差し引く方法です。

[3]一括比例配分方式

仕入にかかる消費税額全体に課税売上割合を掛けて、差し引く方法です。

[2]個別対応方式と[3]一括比例配分方式については、一度選択したら2年間継続して適用しなければなりません。

どの計算方法が有利?

多くの場合、
[1]全額控除方式→[2]個別対応方式→[3]一括比例配分方式
の順に有利となります。

しかし、先日とある企業様において、法人で設備投資を行なった際に、[2]個別対応方式と[3]一括比例配分方式による納付税額の差額が1,000万円以上発生し、[3]一括比例配分方式の方が有利となる案件が発生しました。

ここで安易に[3]一括比例配分方式に飛びついてはいけません。

基本的に[3]一括比例配分方式は[2]個別対応方式よりも不利です。また先述の通り、一度選択したら2年間継続して適用しなければなりません。

そこで、2年分の納付税額のシミュレーションを行いました。

その結果、2年目には[3]一括比例配分方式の方が、[2]個別対応方式よりも500万円多く納付税額が発生するものの、1年目に1,000万円以上の差額があるため、2年通算しても500万円以上有利となる予測となりました。

最終的に、その企業様は[3]一括比例配分方式を適用。翌年500万円多く支払う予定の納税資金は別の通帳に確保いただき、来年の納付に備えていただくこととなりました。

上記の事例は、さまざまな条件が重なって発生したものであり、多くの方に当てはまるものではないかもしれません。

しかし、来月から消費税率が10%に上がります。このコラムをお読みになっている皆様も、これを機に、自社の消費税の計算方法を
確認されてみてはいかがでしょうか。

用語の注釈

※1)仕入・外注・消耗品・そのほかさまざまな消費税がかかる費用項目を、ここでは「仕入」と省略。

※2)「課税売上割合」とは、売上を下記3項目に区分し、売上全体に対して、課税売上高と輸出免税売上高の合計額の占める割合。

  • 消費税が課税されるもの(=課税売上高。大部分の売上が該当。)
  • 輸出免税売上高
  • 消費税が非課税のもの(=非課税売上高。たとえば、土地・住宅の貸付、社会福祉事業など。)

非課税取引についての詳細はこちらをご覧ください。
『非課税となる取引』国税庁ホームページ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm

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