経営者の年齢が20年前と比べると19歳上がっており、事業承継の問題が深刻化しています。
幸いにも後継者がいる場合は承継時期を真っ先に決めるべきです。
今回はなぜ真っ先に承継時期を決めたほうが良いのか解説します。
目次
経営者の高齢化問題
「中小企業2030年消滅!?社長の年齢、14年後に80歳前後に」
2016年6月6日の日本経済新聞にこの様な記事が掲載されていました。経営者の中心年齢は2015年時点で66歳と、この20年で19歳上がっており、このままいけば、2030年には社長の平均年齢は80歳時代を迎え、今の男性の平均寿命とほぼ並ぶというのです。
また、帝国データバンクの調査でも、社長が希望する引退年齢が64.5歳であるのに対し、実際の平均引退年齢は69.1歳と事業承継の難しさが浮き彫りになっています。
NBCグループでも事業承継のご支援を数多く手がけてきました。以前にも本メルマガで「後継者を育てる」という記事を発信しましたが、今回は会社全体としての事業承継についてお伝えいたします。
後継者がいる場合承継時期を決めるのが最優先
後継者がいる場合、真っ先にすべきことは「承継時期を決める」ということです。
これができていなければ何も始まりません。
しかし意外と多いのが、
「息子が継げる状態になったら」
「自分の目が黒いうちは・・・」
といった類いの社長の見解です。
「現社長が生涯現役スタンスで社員からすると次のトップがいつどうなるかわからない」
・・・この様な不安から社風が乱れ、優秀な人財が流出するケースも実際にあります。
「財産承継」と「経営承継」
事業承継には「財産承継」と「経営承継」があります。
「財産承継」
財務・損益が良好な会社は株式を移すにしても税金がかかります(贈与または相続)。
早い段階で贈与非課税枠(年間110万円まで)や保険などを活用し、後継者に株の買い取り資金を蓄えさせておくなどの対策を取るべきです。相続対策においては時間を味方にすることをお勧めします。
そういう意味でも「いつ承継するのか」時期を設定することが重要になるわけです。
「経営承継」
経営承継は「決裁権」と綿密な関係があります。後継者にお勧めの決裁権は、採用や人事評価に関する決裁権、そして仕入・経費発注等の支払いに関する分野での決裁権です。
前者は後継者を中心とした組織創りにつながり、後者は利益・資金に対して厳しい見方をする後継者となることができるからです。
後継者に実務だけさせていたのでは、経営者としての経験を積むことができません。後継者を育てる最も効果的な手法は「決裁権」を与えることです。
まとめ
今回は『承継時期を決める』ということを中心にお伝えしました。
設定した時期に業績が悪くなり、実際に引き継ぐことが難しいケースも
あるでしょうが、その場合はリプランをすればよいのです。
事業承継に臨むならば、まずは承継時期を決めるようにしてください。
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。