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事業承継資金の融資を受ける方法|事業承継ローンの種類・注意点も

2022.12.08

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高齢化を迎えた中小企業の経営者は多くいます。近年、そのような中小企業は大切に育ててきた会社を存続させるためにも、後継者への事業承継を徐々に進めています。

事業承継をする際は、企業・事業を譲渡する側である経営者と譲渡される側である後継者のいずれも何らかの費用が必要となります。また、経営者よりも後継者のほうが費用負担が大きいことも特徴です。事業承継にかかる費用負担をなるべく軽減させるためには、事業承継ローンの利用をおすすめします。

当記事では、事業承継ローンの概要から、利用の方法と流れ、さらに事業承継ローンを利用する際の注意点まで詳しく紹介します。

目次

1.事業承継資金の融資を受けられる「事業承継ローン」とは?

「事業承継ローン」とは、事業承継の実施により必要となった費用・資金を融資してもらえるローンです。

事業承継をする際は、企業・事業を譲渡する側である経営者と譲渡される側である後継者のいずれも、さまざまな費用が発生します。

■事業承継でかかる主な費用項目(経営者・後継者別)
経営者
  • 専門家への相談・依頼料
  • 所得税 など
後継者
  • 贈与税
  • 相続税
  • 株式買取資金
  • 法人税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税 など

上記を見て分かるように、事業承継では経営者側より後継者側のほうが費用負担が大きいことも特徴です。その額は合計で約数百万~数千万円に及ぶと言われており、事業承継の実施によって後継者は企業の負債もすべて引き継ぐことを考えると、リスクや負担は非常に大きいものとなるでしょう。

なお、上記に示した費用のすべてが発生するわけではありません。どの費用が発生するかは事業承継の種類によって異なり、親族内承継であれば贈与税・相続税や株式買取資金が、M&A(第三者承継)であれば株式買取資金から登録免許税までが発生します。

事業承継ローンを活用すれば、事業承継で必要な資金を確保できるため、まとまった資金のない後継者の大きな助けになるでしょう。

1-1.事業承継ローンの種類

事業承継ローンは、全国の金融機関で用意されるローン商品です。しかし、金融機関によって名称が異なるだけでなく、主に下記2つの種類があることも覚えておきましょう。

(1)政府系金融機関による事業承継ローン

政府系金融機関による事業承継ローンでは、日本政策金融公庫が実施する「事業承継・集約・活性化支援資金」が有名です。事業承継・集約・活性化支援資金には個人事業主をはじめとした小規模事業主向けの「国民生活事業」と中小企業向けの「中小企業事業」の2つがあります。

(2)一般金融機関による事業承継ローン

一般金融機関による事業承継ローンは、信用金庫や銀行といった一般的な金融機関で実施される事業承継ローンです。融資額の限度や返済期間・金利は金融機関によって異なります。

2.事業承継ローンを利用する方法・流れ

事業承継ローンを借りる際は、さまざまな手続きが必要です。融資を受けたい旨を伝えてすぐに借りられるわけではありません。前もって準備しておかなければ、スムーズに事業承継ローンを借りられない可能性もあるため、事前に利用方法や流れを知っておくことが大切です。

ここでは、事業承継ローンの利用方法と流れを簡潔に紹介します。

STEP(1)

【事業承継計画の策定】

事業承継の概要や後継者の選定といった計画を策定し、「事業承継計画書」を作成しておきます。事業承継計画書は、日本政策金融公庫にて事業承継ローンを利用する際に必須となります。
STEP(2)

【金融機関の支店窓口で相談】

金融機関の窓口にて、事業承継ローンを借りたい旨を相談します。この時点で事業承継計画書・直近3期分の決算書を持参していれば、相談がよりスムーズとなります。
STEP(3)

【必要書類の作成・事業承継ローンの申請】

担当者から伝えられた必要書類(会社資料や納税証明書など)を作成し、書類が揃ったら窓口にて事業承継ローンの申し込みをします。
STEP(4)

【審査】

申し込みを行ったのち、金融機関によって審査が行われます。担当職員によるヒアリングが実施されることもあります。
STEP(5)

【融資の決定・貸付契約の打ち合わせ】

審査に通過すると、融資が決定します。融資の決定とともに、貸付契約の打ち合わせが行われ、具体的な貸付条件が取り決められます。
STEP(6)

【融資金の振り込み・返済の開始】

貸付契約を行ったあとは、指定した口座に融資金が振り込まれます。その後、取り決められた貸付条件にもとづき返済も開始します。

3.事業承継ローンを利用する場合の注意点4つ

事業承継に際して融資を受けられる事業承継ローンには、さまざまな魅力がある一方で、いくつか注意しなければならない点もあります。主な注意点は、下記の4つです。

  • 融資を受けるまでに時間がかかる
  • 融資を受けるために費用がかかる
  • 審査を通過しない場合がある
  • 個人保証を求められる可能性がある

最後に、それぞれの注意点について詳しく紹介します。

3-1.融資を受けるまでに時間がかかる

事業承継ローンは、申請してすぐにまとまったお金を借りられるわけではありません。前述の通り、事業承継ローンは申請後に必要書類の準備や審査などがあります。人によっては、必要書類を準備することに時間がかかるケースもあるでしょう。加えて審査には早くても2~3週間、遅ければ1~2か月程度の期間を要します。

そのため、事業承継ローンの申し込みは「まとまった現金を持っておきたい日」の2~3か月前など、できる限り前もって行うことが大切です。また、まとまった現金が必要となるタイミングを明確にするためにも、事業承継の計画もなるべく早めに行っておきましょう。

3-2.融資を受けるために費用がかかる

事業承継ローンは、一時的にまとまったお金を融資してもらえるという点が魅力ですが、融資の返済額には一定の利率がかけられた利息が発生することも忘れてはなりません。さらに、この利率は返済期間が長ければ長いほど高まることも特徴です。

事業承継ローンを借りる以上、融資額以上のお金を返済しなければならないため、結果として費用負担は大きくなると言えるでしょう。事業承継に必要な費用を自己資金でまかなえるのであれば、事業承継ローンを借りることはおすすめしません。

3-3.審査を通過しない場合がある

事業承継ローンは、ほかのローン商品と比較して審査が緩いことが特徴です。しかし、必ずしも審査に通過するわけではありません。たとえ審査基準が低くても、さまざまな条件をクリアすることに変わりはなく、返済能力が低いとみなされた場合は融資を受けられない点も一般的なローン商品と同様です。

ほかの金融機関からの借入の返済を延滞していたり、カードローンからの借入があったりすると、審査を通過しない可能性があります。加えて、提出した決算書や会社資料から今後の売り上げ・経営状況を危惧された場合も、返済能力が低いとみなされて審査に落ちる可能性があることを覚えておきましょう。

もしも1つの金融機関で審査に落ちてしまったときは、ほかの金融機関で再度申し込みをするか、国・政府が実施する特例制度の申し込みを受けてみるのもおすすめです。

3-4.個人保証を求められる可能性がある

事業承継ローンでは、返済の信用性を補完すべく、申し込んだ金融機関から個人保証を求められる可能性があります。そのため、経営者(後継者)個人を連帯保証人として立てるケースも珍しくありません。

毎月定められた額をきちんと返済できれば特に問題はありませんが、万が一返済が延滞してしまった場合、担保として設定した個人の自宅や預貯金などの財産が差し押さえられる可能性もある点は大きなリスクです。

このようなリスクが事業承継の阻害要因となっていることを踏まえ、近年では経営者保証に関するガイドラインが策定され、個人保証に限定しない融資が促進されています。しかし、依然として個人保証を求める金融機関は少なからず存在することも覚えておきましょう。

まとめ

「事業承継ローン」とは、事業承継を検討する方を対象に、必要な費用・資金を融資してもらえるローンです。主に後継者側の資金調達・リスク軽減を目的としたローンであり、全国の金融機関で提供されています。

事業承継ローンには、政府系金融機関による事業承継ローンと一般金融機関による事業承継ローンの2種類があります。いずれも利用の方法や流れはほとんど同様ですが、細かな条件や審査基準が異なるため、直前になって慌てないためにも事前に確認しておきましょう。

事業承継ローンの利用は、まとまったお金を融資してもらえるという大きなメリットがある一方で、あらゆる点に注意しておかなければさらなる負担が発生することを念頭に踏まえ、事業承継ローンを利用するかしないかの適切な判断をとることがおすすめです。

(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)

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この記事の著者

NBCPlusオンライン編集部

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