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2025年問題 事業承継と技能承継

2022.09.01

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もはや当たり前のように語られる「少子高齢化」ですが、今回は「2025年問題」について、少し考えてみたいと思います。

目次

今後10年で約22兆円のGDPが消失!?

現在、中小企業において経営者の高齢化が問題視されています。

1995年、経営者年齢の中央値は47歳でしたが、20年後の2015年には66歳まで上昇し、このままでは2025年に中小企業全体の約3分の2にあたる245万人以上が70歳を超えると予測されています。

2019年に中小企業庁が出した試算によると、現状のままでは中小企業の倒産・廃業により10年間で650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。

出所:中小企業庁『中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題』

加えて2020年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で、事業承継の状況はさらに悪化するという懸念もあります。

2025年問題はすでに影響が出始めている

世情も大きな問題ですが、日々、直接中小企業にお伺いし、現場の実態に触れていますと、この少子高齢化問題は、事業承継への影響だけではなく、技術承継の点でも影響が出始めていると感じます。

職場での技術承継においては、数年前まで
「見て、盗んで、覚えなさい」
という風土が少なからずありましたが、今では意識の改革も進み、ベテランの方が若手に真剣に技術や知識を教える姿を目にします。

業種によって人員の減少率はバラつきがありますが、例えば国土交通省の調査結果によると建設業従事者のうち、約3割は65歳以上で、29歳以下はわずか1割で、今後更なる深刻化が予想されています。

おそらく他業界にも同じ傾向がみられ、中小企業は
「固定観念にとらわれず、インクルージョン(※)を促進させなくては生き残れない時代がすぐそこまで来ている。」
という事実を受け入れなければなりません。
※インクルージョン:包括・包含という意味ですが、ビジネスの場では、企業内すべての従業員がそれぞれの個性を認め合い、仕事に参画・貢献する機会を持ち、一体感を持って働いている状態。
似た言葉にダイバーシティがあるが、ダイバーシティとの違いは、ダイバーシティは多様性を認めることに対し、インクルージョンはその多様性を活かすことです。

2025年問題に対する対応策とは?

中小企業が2025年問題に対応するためには、そのような対応策があるのでしょうか?

採用以上に離職を離職を抑制することが重要

ここ数年、採用にかなりの熱量をかける企業が増えています。企業における血液ともいえる人材ですから、採用は必要不可欠です。
一方で、採用と同様もしくはそれ以上に重要なのは離職を抑制することです。

採用の一手として、リファラル採用(※)を導入する企業も多いですが、既存社員の退職懸念を抱えている状況でリファラル採用が成功する可能性は限りなく低いと言わざるをえません。
※リファラル採用:自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法。メリットとして採用のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率向上が期待できることがあげられる。

弊社のご支援先でも
「リファラル採用を進める以上、胸を張ってうちの会社はいいぞ!と言える会社に皆でしていこう。」
ということを同時並行で進めています。止血をせずに輸血しても労力とコストに見合いません。

ダイバーシティ化の促進

また、多様な働き方や人材を受け入れるダイバーシティ化を進めることも必要です。

少子高齢化の今、すぐに即戦力が入ってくる保証もありません。また、人手不足により現場が忙しく育成にも時間を割けないという状況では、離職を抑制することは難しいでしょう。

また中小企業では、現場に関する職種の採用自体に苦戦することもあるでしょう。そのため、今までの採用活動とは違う取り組みをする必要があります。ここで、ある企業の採用活動の事例をご紹介します。

ある企業では現場社員の採用が難しいため、今までの固定観念を捨て事務員の募集に切り替えました。

直接人員が増えない中、間接人員を増やすことに現場の反発もあるのではとの懸念もありましたが、結果として、新規採用した事務の方に
「現場社員がこれまでやっていた技術や知識がなくてもできる仕事」
を任せ、その分直接部門社員は、育成や技術承継など、より付加価値の高い仕事に従事してもらうことが叶いました。

この他にも、ダイバーシティ化の例として、

フルタイムか社員しか採用しなかった企業において、
柔軟にパートタイマーを活用する、
既存社員を含め、これまでの役割や業務範囲を超えた新しい活躍の場を設ける
等があげられます。

このように従来の取り組みの延長線上ではないことにシフトしていく時期が来ています。

まとめ

迫りくる「2025年問題」

一般的には、医療費や年金問題が取り沙汰されますが、経営、そして仕事の現場にも間違いなく大きな変革を余儀なくされることになるでしょう。

何を変革すべきで何から着手すべきか……迷われる方も少なくないかと思います。

弊社ではそんな「これからの打ち手」のヒントやアイデアにつながる情報を毎月開催のセミナーでお伝えもしていますので、ぜひ活用してください。

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この記事の著者

NBCコンサルタンツ株式会社

NBCコンサルタンツ株式会社は1986年の創業以来、会計事務所を母体とする日本最大級のコンサルティングファームとして数多くの企業を支援しております。4,290社の豊富な指導実績を持つプロの経営コンサルタント集団が、事業承継、業績改善、人材育成、人事評価制度など各分野でのノウハウをお届けします。