9月・10月と全国で「評価制度セミナー」の講演を行ってきましたが、いずれの会場でも、毎回40人~50人の経営者の方々にご参加頂きました。
なぜこれほど活況なのか、主催しているコンサルタント会社自身が原因を掴み兼ねるほど、多くの方々が時間とお金を割いてご参加されています。
2017年における評価制度ブームは労働者不足によるもので、中小企業にとってはますます採用が厳しいものになってきています。
大企業に勝つには、大企業が持つことが出来ない人事評価制度が必要でその一つが抜擢人事です。今回は抜擢人事について解説します。
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目次
ご参加されている経営者と直接話していてわかるのは、2000年代の評価制度ブームとは全く異なる理由でご参加しているということでした。
2000年代の評価制度ブームとは
以前の評価制度構築の理由は、現在在籍している社員を、いかに客観的に正しく評価するのかというためでした。
つまり、右肩上がり経済の終焉を前提とした、年功序列給与制度と相対するものとして、新たな人事制度の構築が急がれた、という背景がありました。
2017年の評価制度ブームとは
今回の2017年評価制度ブームは、少子化の影響による労働力不足からの採用難が背景にあります。
求人を出しても、中小零細企業には応募すらこないという現実。このような現実を打破しようと、求職者にとって魅力ある人事制度を構築し、人事評価制度の見直しているのです。
さらに、この労働力不足・売り手市場の労働環境の中で、現在在籍している多くの社員すら常に転職希望を胸に秘めており、暇があれば登録している転職サイトを閲覧する日々。
電車に乗れば「転職すれば人生が開ける」ような文言で斡旋する企業の広告に目が向かない日はありません。
社外と社内というまさに人事の内憂外患の状態に置かれた中小企業が、どのようにこの時代を切り開くのか……。
その解として、人事評価制度の刷新という手法を用いているのです。
「能力」には、「チャンス」を「成果」には、「報酬」を
このような労働力不足の時代、中小企業の人評価事制度の基本を上記の言葉に込めてお伝えしています。
大企業と同じ人事評価制度を持っては、中小企業を選ぶ求職者などいるはずがありません。知名度・安定感・賃金水準の全てで基本劣る企業が勝つには、大企業が持つことが出来ない人事評価制度が必要です。
それが「抜擢人事」なのです。つまり、「能力」には、「チャンス」を、なのです。
大企業では、数千・数万人いる中で誰がどのような能力や経験があるのか、一人の人が客観的に公平に見て判断することはできません。
故に、入社年次、職能を基本とした人事制度が取られます。これが大企業の人事担当者にとって、最もリスクのない制度なのです。
しかしながら、中小企業であれば社員数も限られており、社長自らが判断し責任を取ることが出来る背景があるので、仮に入社歴が浅くても、その人の能力経験を鑑み、部門長・新規事業部長、更には役員に抜擢という人事ができます。
抜擢人事の注意点
昨今の優秀な若者は、短期間で責任あるポジションに登用してもらえる、可能性ある職場を望んでいます。役員になるのに20年・30年かかるような職場には、就職を希望しません。
しかし留意せねばならないのが、抜擢された社員にその登用されたポジションの給与を即支給すると、既存の社員から不平不満が生じるという現象です。
ここで、昇給は後払いで良しとするという考え方を取り入れます。つまり「成果」には、「報酬」をです。
抜擢された社員が登用されたポジションの責任を果たしたら、その役職に相応しい給与を支払えばよいのです。
部長としての責務を果たせば、部長としての昇給を実施する。
役員としての責務を果たせば、役員としての昇給を実施する。
このように、大企業とは抜本的に異なる、中小企業独自の人事評価制度を構築しなければ、今の時代の採用環境に対応できないのです。
あなたの会社で役員になるのには何年かかりますか?
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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