戦国時代――この時代を語る時、数々の逸話を残す武将たちにスポットが当てられますが、経営という観点から戦国時代を見てみると、企業はその武将たちが保有した領国や勢力と似ているように思えます。
戦国時代においては、大名のもとで家臣や豪族たちが共に力を結集しその土地の民を守り、時に他の領国としのぎを削って勢力を伸ばしていく。
現代社会においては、各企業が同業他社または異業種と日々競争を繰り返しながら、社員の雇用を守り、利益を追求する。
今回は、日本の戦国時代を最も象徴する武将と言っても過言ではない織田信長の足跡を事例として、その成功要因を見ていこうと思います
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目次
明確かつ壮大なビジョン=企業が向かう方向性を確立し浸透させる
この時代が好きな方は耳にしたことがあるかもしれませんが、信長は「天下布武」というビジョンを掲げていました。
この考えを末端の家臣にまで浸透させたことで、家臣のあいだで、何のために戦っているのか、何のために領地を守っているのか、といった目的のブレがなくなりました。それは、戦うことへの納得感を高めることにもつながっていきます。
信長は、この「天下布武」という言葉(ビジョン)を浸透させるため、印鑑にして毎回書状に押印していたといわれます。
現代で言えばメールやSNSの締めくくりに毎回「天下布武」と書かれているようなものでしょうか。
それくらい大事にし、そして、繰り返し繰り返し示し続けたそうです。
信賞必罰の人事評価制度=報酬による意欲・動機付けを行う
信長勢には、豊臣秀吉や明智光秀、柴田勝家などの名だたる武将が属していましたが、
いずれも共通しているのは抜擢された際にしっかりと成果を出していたことです。
そして信長が家臣の成果に対して報酬で報いることも忘れずに行っていたからこそ
家臣はまた成果を出すように動き、それを聞きつけた優秀な人材が多方面から集うことにもつながり、その勢力は次第に拡大していきます。
一方で、長年勤めていた家臣であっても成果が出ていなければお叱りだけでは済まず、減俸や配置換え、最悪解雇といった「罰する」ということもしっかり行って明確に差をつけていました。
現代にはさまざまな法律もありますので、ここまでの信賞必罰は難しいかと思いますが「評価する」という部分は取り入れてもいいのではないでしょうか?
小集団で目標達成のための物事を考え、より良い成果を生み出す風土、仕組み作り
ある程度勢力の規模が大きくなると、信長自身が地方まで赴いて指揮を執ることはなくなりました。代わりに軍団長を任命し、部下をつけ、地方攻略を任せるようになります。
例えば「中国地方の平定」といった大目標だけ与え、基本委任することでその軍団長を中心に家臣たち自身で策を考え、実行させる仕組みを作ったのです。
さらに、軍団ごとに競わせ、より良い結果を生み出すような風土も作り上げ、成長へのステップアップを図っていきました。
現代の企業で考えるならば、社長自身が動くのではなく幹部にある程度任せ、各部門・セクションの担当ごとによりよい成果が出るように自分たちで考えていけるような仕組み作りを行い運用していく、という姿と重なります。
まとめ
ここに述べた信長の3つの足跡は、私どもが「組織活性化の三要素」としてお伝えしているものとも通じます。
時代は異なれど真理は不変なのだと思います。信長に見る経営の成功要因、改めて、皆様の経営への一助となれば幸いです。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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