従業員エンゲージメントとは、従業員がどの程度企業を信頼し、意欲的に仕事をしているかを意味する言葉です。従業員エンゲージメントの向上には多数のメリットがあるものの、従業員エンゲージメントを高める方法が分からないという経営者の方もいるかもしれません。
当記事では、従業員エンゲージメントを高める方法を7つ紹介します。まず現状把握を行い自社に必要な施策を検討した上で、適切な方法を取り、従業員エンゲージメントを高めましょう。
「なぜエンゲージメントが重要なの?」
「自社のエンゲージメントはどう把握するの?」
そんな疑問に答える資料を1冊にまとめました。
目次
1.従業員エンゲージメントを高める方法
従業員エンゲージメントが高まると、離職防止や生産性向上、業績アップなど企業にとってさまざまなメリットをもたらします。
従業員エンゲージメントには、「仕事の資源」「個人の資源」「仕事の要求度」の3つの要因が影響していると言われています。企業として従業員エンゲージメントを高めるには、それぞれの要因を改善することが必要です。
ここでは、従業員エンゲージメントを高めるためには何が必要なのか、求められる取り組みを解説します。
1-1.コミュニケーションが取りやすい環境を整える
コミュニケーションを通して従業員同士の関係性が深まり、一緒に働く人のことをよく知ると、組織への愛着がわきます。また、コミュニケーションが取りやすくなると、チーム内の同僚や上司・部下はもちろん、経営層や他部署の従業員などとの接点も増えて組織がまとまります。多くの企業において、コミュニケーションが取りやすい環境は、従業員の帰属意識の高まりにつながるでしょう。
近年は、新型コロナウイルスの流行などを背景としたテレワークの浸透により、コミュニケーションの機会が減少しています。コミュニケーションを活性化させるには、制度づくりやインフラ整備など、企業ごとの工夫が不可欠です。
1-2.企業文化・企業理念を浸透させる
企業文化や企業理念を組織に浸透させ、従業員の共感度を高めるほど、「自社に貢献したい」という気持ちが強くなります。特に最近は、少子高齢化による人手不足やキャリアの多様化により就職先の選択肢が増えているため、条件面だけでなく企業の内面的な部分に共感してもらうことが重要です。
企業文化・企業理念を浸透させる方法としては、社内向けのコンテンツ作成や説明会の開催などがあります。従業員に企業文化・企業理念を浸透させるのは、簡単な取り組みではありません。さらに、浸透にはある程度の時間がかかるので、長期的な目線で継続的に取り組みを進めるとよいでしょう。
1-3.人事評価制度を整える
人事評価制度の整備も、従業員エンゲージメントを高める上で効果的な方法です。適切な人事評価が行われれば、日々の努力が認められて待遇にも反映され、従業員は「さらに頑張ろう」というモチベーションになります。企業理念を実現させるために必要な項目を人事評価制度に盛り込むことで、従業員への理念浸透にもつながります。
実状として、人事評価が形だけになり、本格的に実施できていない企業も少なくありません。人事評価制度は、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3つの制度で構成されます。各制度を適切に結びつけた上で人事評価制度を確立させ、従業員エンゲージメントの向上につなげましょう。
1-4.適切なフィードバックが受けられる環境を整える
従業員エンゲージメントを高めるためには、適切なフィードバックも必要です。フィードバックがきちんと行われていると、従業員の成長速度が上がり、結果として仕事への自信につながります。また、フィードバックは自分の状況や目標を整理する機会にもなるので、日々の業務における方向性が明確になることも、従業員エンゲージメントの向上に好影響をもたらします。
フィードバックにおける注意点は、相手の考えや頑張りは否定せず、よい点や改善すべき点を詳細に伝えることです。伝え方や態度には十分注意して、相手が前向きになれるフィードバックを心がけましょう。
1-5.従業員のキャリア開発を支援する
キャリア開発とは、実現させたいキャリアのために、個々の持つ知識やスキルを向上させる取り組みです。キャリア開発は、従業員が自律して進めることが理想ではあるものの、自律人材になれるまでは、企業による支援も必要です。
キャリア開発を支援し、従業員が自分のキャリアについて考えるようになれば、目標ができ、さらなる成長へとつながります。また、企業が自分のことを大事にしてくれている実感がわき、自社への満足度向上にもなるでしょう。
ただし、キャリア開発の主体はあくまで従業員個人であることは意識するようにしましょう。企業が必要以上に支援したり、一方的に支援したりすると、従業員は受け身になり、成長につながらない可能性があります。
1-6.ワークライフバランスを整える
長時間労働や休日出勤が続くと、従業員の負担が増え、企業に対する不満が溜まってしまいます。そのため、ワークライフバランスを整えて、気持ち良く働ける環境を作ることも、企業ができる従業員エンゲージメントアップに向けた取り組みです。
ワークライフバランスを整えるポイントは、「経営者による意思表明」や「担当部署の設置」「コミュニケーションの活性化」などさまざまです。従業員に委ねず、組織ごととして経営者が先導しながら、取り組みを進めましょう。
1-7.ストレスケアを実施する
従業員エンゲージメントの向上には、従業員のストレスケアも大切です。特に近年の日本は、働き方が急激に変化しており、知らぬ間にストレスを溜めているケースも少なくありません。日々の仕事へのプレッシャーや対人関係が負担になっていることもあります。企業側がストレスにいち早く気づくことで問題が解消でき、自社への信頼度アップにもなるでしょう。
定期的な面談の実施や相談窓口の設置など、自社にできる取り組みやサポートを検討し、実施してください。
2.従業員エンゲージメントを高めるためのポイント2つ
従業員エンゲージメントを高める施策を行う上では、効果を最大限に出すために押さえるべきポイントがあります。ポイントを理解せずに施策を行うと、労力だけがかかる場合もあるので、注意が必要です。
ここでは、施策の実施前・実施後にそれぞれ気を付けるべきポイントを紹介します。
2-1.現状を把握する
まずは、現時点での従業員エンゲージメントについて調査を行い、課題を洗い出すところから始めます。調査により課題を明確にすることで、企業としてどのような施策を実施すべきなのかが見えます。
例えば、エンゲージメントが低い従業員層が分かれば、把握した層に対して、より絞ったアプローチが可能です。どのような原因でエンゲージメントの向上が阻害されているのかが明らかになれば、課題解決に向けた的確な対策を行えます。
現状を把握するエンゲージメントサーベイにはさまざまな種類があり、分析方法もそれぞれ異なるため、自社にあった調査方法を選びましょう。
2-2.施策結果を分析する
従業員エンゲージメントを高める施策を行ったら、施策結果の分析も必要です。定期的にエンゲージメント調査を行うことで、施策が組織にどのような効果をもたらしているのかを把握できます。
また、施策の効果を分析したら、効果をさらに高めるためにはどうすべきかを見直しましょう。PDCAを回しながら改善を継続し、従業員にとって働きやすい企業を作っていくことが大切です。
まとめ
離職率低下や生産性の向上のため、企業は従業員エンゲージメントを高めていくことが求められます。社内の環境や制度を整え、従業員にとって働きやすい環境を作り出すだけでなく、従業員が共感を持って働けるよう、企業理念を共有することも大切です。
同時に、ただ従業員エンゲージメントを高める施策を行うだけではなく、現状を把握し定期的に施策結果を分析する必要もあります。長い目で見ながら、従業員が意欲的に働けるような企業作りを行いましょう。
その把握方法・活かし方はわかりにくく、経営者にとっては高度な命題となっています。
本資料は、エンゲージメントの必要性から把握方法までを1冊にまとめました。
従業員エンゲージメントが業績に与えている影響も、実在する会社の実例を挙げてご説明します。
(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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