従業員の会社に対する貢献意欲や愛着心を上昇させるためには、従業員エンゲージメントを調査することが大切です。しかし、実際どのようにして計測したら良いか分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
当記事では、従業員エンゲージメントの測定方法、エンゲージメント調査の指標、およびエンゲージメント調査は自社で行えるか否かについて解説します。従業員エンゲージメント調査を導入したい方や、従業員の定着率をアップさせたいと考えている方は、ぜひお読みください。
「なぜエンゲージメントが重要なの?」
「自社のエンゲージメントはどう把握するの?」
そんな疑問に答える資料を1冊にまとめました。
目次
1.従業員エンゲージメントを調査する目的は?
従業員エンゲージメントとは、企業に対して従業員が持っている愛着心や貢献意欲のことです。従業員エンゲージメントを調査し活用することは、企業への愛着心や貢献意欲を向上させる上で不可欠な行為だと言えるでしょう。
従業員のエンゲージメント調査を行うことで、以下のような効果が期待できます。
1-1.会社の課題を可視化できる
従業員たちが抱えている不満は、上層部からは見えにくいものです。エンゲージメントを調査することで、通常では見えにくい従業員の不満が可視化され、会社が抱えている問題点が洗い出しやすくなります。また、上層部と社員が職場で感じているギャップも把握できます。
1-2.人事施策の効果を測定できる
エンゲージメントを調査することで、社内の人事施策や教育制度といったものが従業員にどのくらい受け入れられているのかを測定できます。施策や制度が社員に受け入れられていればエンゲージメントは上昇します。一方でエンゲージメントが上がっていない場合は、効果がうまく出ておらず改善が必要であると判断できるでしょう。
エンゲージメント調査を定期的に行い、都度過去の結果と変化がないか比較することで、施策や制度による効果の有無をより明確に把握しやすくなります。
2.従業員エンゲージメントの測定方法
従業員エンゲージメントは、「センサスサーベイ」と「パルスサーベイ」2種類の方法で測定可能です。2種類では、それぞれで実施する頻度や回答する際にかかる負担の大きさが異なります。以下では、2つの測定方法の特徴やメリット、デメリットについて詳しく解説します。
2-1.センサスサーベイ
センサスサーベイとは、1年に1回ほどのペースで行われるサーベイ(調査)のことです。50〜150個ほどの質問によって構成されており、比較的ボリュームの大きいアンケートだと言えます。センサスサーベイのメリットは、以下のような点です。
- 実施する頻度が低いため、回答者にとっての負担が少ない
- 詳細かつさまざまな観点から調査が行える
- 調査結果を受け、時間をかけてしっかりと対策を行える
一方で、以下のようなデメリットも持っています。
- 実施するにあたっての費用が高いケースがある
- アンケートの集計を行う担当者に大きな負担がかかる
- 分析に手間と時間がかかるため、「アンケートは行ったものの分析には手をつけられていない」という状況になりやすい
2-2.パルスサーベイ
パルスサーベイとは、頻度の高さと質問数の少なさが特徴となるサーベイです。質問の数は5〜15個ほどとなっており、ボリュームは小さめです。1週間に1回、または1か月に1回程度といった短いスパンで繰り返し行われます。パルスサーベイのメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- 質問の数が少ないため、アンケートの運用を行う担当者の負担が軽い
- 質問数の少なさから、高い回答率が期待できる
- データの集計や分析が行いやすく、スムーズに課題の解決へ動き出せる
デメリットは、以下の通りです。
- 実施頻度が高く、有効に機能しないケースがある
- 定期的に実施し、都度対策を行うため、負担が大きい
- 質問数が少ないため、細かい部分まで把握するのが難しい
3.従業員エンゲージメント調査の指標
エンゲージメント調査を行う場合、用いる指標について知っておくこともポイントです。従業員エンゲージメントを測定する際は、「エンゲージメント総合指標」「ワークエンゲージメント指標」「エンゲージメントドライバー指標」という3つの指標を用います。
以下では指標それぞれの情報について、詳細に解説します。
3-1.エンゲージメント総合指標
エンゲージメント総合指標とは、従業員が会社を現在どのように評価しているかを総合的に理解する上での指標です。総合指標には、「eNPS」「総合満足度」「継続勤務意向」といった項目が用意されています。それぞれの項目の概要は、以下の通りです。
・eNPS
eNPSとは、自身が働いている会社を、勤務先として知人や友人にどの程度勧めたいかを尋ねるものです。回答の際は、0〜10の11段階で評価を行ってもらうか、記述式で回答してもらうケースがほとんどとなっています。
・総合満足度
従業員が会社に対して総合的にどの程度満足しているのかを、質問に回答してもらうことで測定するものです。
・継続勤務意向
従業員が今の会社で今後どのくらい継続して勤務し続けたいかを、質問項目に回答してもらうことで測定するものです。
3-2.ワークエンゲージメント指標
ワークエンゲージメントは、以下3つが揃った状態として定義されます。
- 仕事をすることで活力がみなぎる
- 自身の業務にやりがいや誇りを感じ、熱意を持って行える
- 仕事に対して没頭し、夢中になれる
ワークエンゲージメント指標とは、上記の要素がどの程度揃っているかや、従業員が精神的にどれほど健康であるかを示す指標です。対極にある定義として、仕事に対する意識を失った状態を「バーンアウト(燃え尽き症候群)」と呼びます。
ワークエンゲージメント指標の測定方法は、「熱意」「没頭」「活力」を測る「UWES」という方法の他に、バーンアウトを測定する方法もあります。
3-3.エンゲージメントドライバー指標
エンゲージメントドライバーとは、エンゲージメントを向上させる要素のことです。具体的には、以下のような要素がエンゲージメントドライバーに当たります。
- 他人に貢献しているという意識
- 仕事を通して自身が成長している実感
- 自身の目指す未来を実現するための環境
エンゲージメントドライバー指標では、社員が上記の要素を持っているかを調査し、仕事の満足度や難易度、会社への期待の大きさなどを測ります。行われる具体的な質問例は、以下の通りです。
- 仕事を行う中で、上司や同僚から褒め言葉をもらうことはあるか
- 勤務する会社や組織の戦略、理念を理解しているか
- 仕事を行う中で、自分個人の意見が考慮されていると感じることはあるか
4.従業員エンゲージメント調査は自社で行える?
従業員エンゲージメント調査は、自社で行うことが可能です。エンゲージメント調査を自社で行う場合、調査にかかるコストを抑えられるというメリットがあります。また、柔軟な内容で定期的に行えることも強みの1つです。詳しく知りたい分野・項目を中心に調査したり、アンケートの回答方法を選択したりと、調査内容や形式を自由に変更できます。
ただし、エンゲージメント調査の実施には専門的な知識を要します。したがって、担当者に大きな負担がかかるという点には注意が必要です。
自社のみで行うのが難しい場合、専門会社に依頼することも可能です。専門会社に依頼することで、実績豊富なプロの専門知識をもとに調査を行えるため、よりしっかりとした調査を行える可能性が高まります。一方、自社のみで行うよりもコストがかかる点はデメリットだと言えるでしょう。
どちらの方法も一長一短となるため、自社に合わせた調査方法を選択することをおすすめします。
まとめ
従業員エンゲージメントを調査することで、会社が抱える課題を可視化したり、人事が行う施策や制度の効果を測定したりすることができます。エンゲージメントは、「センサスサーベイ」または「パルスサーベイ」という方法によって測定可能です。
従業員エンゲージメントを調査する場合、「エンゲージメント総合指標」「ワークエンゲージメント指標」「エンゲージメントドライバー指標」という3つの指標を用います。エンゲージメント調査は外部の力を借りず、自社のみで実施することも可能です。自社で行った場合、コストを抑えて柔軟な調査が行える一方、専門知識が必要なため担当者に負担がかかるというデメリットもあります。
その把握方法・活かし方はわかりにくく、経営者にとっては高度な命題となっています。
本資料は、エンゲージメントの必要性から把握方法までを1冊にまとめました。
従業員エンゲージメントが業績に与えている影響も、実在する会社の実例を挙げてご説明します。
(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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