2020年からつづくコロナ禍、『非接触』が求められ、多くの業界が厳しい経営を強いられていますが、そんな中でも大きく成長を遂げている業界の一つに『アウトドア業界』があります。
今回は、アウトドア業界の中でもガレージブランドに着目して、ガレージブランドを通じて中小企業の戦い方についてご紹介します。
目次
コロナ禍でも成長するアウトドア業界
矢野経済研究所の調査によると、
2020年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場は、
前年度比4.6%減の2,954億6,700万円。
2024年度の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場規模予測は、
3,111億3,000万円(2020年度比105.3%)
になると言われています。
新型コロナウイルス感染症がなだらかに終息に向かうという仮定のもとでも、今後2~3年は一定規模の水準で推移すると予測されています。
近年のアウトドアブームにより業績を伸ばす注目の企業も多数存在します。
株式会社スノーピーク
時価総額:2020年年初:約2,000万円
⇒ 2021年11月には1,600億円台に到達。
約2年間で時価総額が8倍以上に成長。
株式会社ワークマン
時価総額:2019年年初:約3,200億円
⇒ 2019年12月には8,600億円台到達。
約2年間で時価総額が4倍以上に成長。
ワーキングウェアのイメージから大きく転換し、現在では低価格・高機能のキャンプ道具を展開し、新たな客層を獲得中。
そのほかにも釣り・ゴルフなどアウトドア業界は成長を続けていますが、私が特に興味を持っているのは大手メーカーではなく、『ガレージブランド』と言われる、小規模ながら品質が高く、オリジナリティあふれるアイテムを作り出すブランドです。
ガレージブランドの戦い方
このガレージブランドの戦い方は多くの中小企業の戦い方に通ずるものがある、と感じています。
「薄利多売ではなく、価値をわかってくれる顧客を育てて高利益率体質をつくる。」
(1)ブランディング
大衆向けの商品ではなく、こだわりをわかってくれるコアなファンを獲得する。
インスタグラム、ツイッター、ECサイト(アプリ)の充実により、D2C(Direct to Consumer)販売が容易になりました。
ライトキャンパーではなくヘビーキャンパーを獲得するためのブランディングへシフトし、その所有欲を満たすためのプロモーションを展開しています。
(2)超顧客目線の商品開発
大手とは戦わないのが負けない戦略。
あるガレージブランドは、とある企業の大ヒット商品に取り付ける、作業性や見栄え向上(他人との差別化を図る)のための商品を開発・販売しています。
大手メーカーと競争するのではなく、共存・発展させる戦略です。戦うのではなく「のっかる」。(+αのアイデアで価値をつくる。)
(3)自社の強みを活かし付加価値を上げる
自社の強みを活かした事業展開。
あるガレージブランドの製品が私は大好きなのですが、そのブランドの本業は精密部品の製造です。
精密部品用の機械やそこで培われた技術を活かしてアウトドアブランドを立ち上げ、多くのコアなファンを獲得しています。
たとえばこのブランドの蚊取り線香置き『蚊取り線香ホルダー』は、1万円以上で販売されていますが、商品が入荷されても数分で売り切れになってしまうほど大人気です。(デザイン性・機能性・希少性・所有欲)
「惚れさせる」ことが中小企業の生きる戦略
ガレージブランドの戦い方は、
- 強みを活かす。業界に縛られすぎない。⇒ 真の強みは他業界でも活かせるはず!
- 徹底的な付加価値の追求。あなたから買いたい!⇒ こだわり=付加価値=利益率
- SNS・ECサイトを活用したブランディング強化⇒ 買った先になにがあるのか?所有欲
と、集約できそうです。
そして、ここまで大胆な舵を切れる背景には、それぞれのブランドで自社や自社製品への愛着と誇りがあるからにほかならない、と感じるのです。
愛着、誇り、信頼 ───「惚れ込んでいる」と言ってもいいでしょう。
「うちのスタッフは、うちの会社とうちの製品に惚れているか?」
御社はいかがでしょうか?
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この記事の著者
NBCコンサルタンツ株式会社
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