経営学の先生が、経営学の理論を実践すれば、一流の収益を生み出す企業になるかと思いがちですが、実際はそうも行きません。
今回は経営学大学院の先生の言葉から経営学と経営の違いについてご紹介します。
目次
以前お会いした経営学大学院(MBAコース)の先生に、
「先生は何故、自ら経営をされないのか?」と伺ったことがあります。
「先生が自らその経営学・理論を実践すれば、一流の収益を生み出す企業になるのではないでしょうか?」
先生は、私の質問に対し、笑いながらおっしゃいました。
「君ね。『経営学』と『経営』を混同している。その違いがわからないと本物の経営コンサルタントにはなれないよ。
『経営学』を教えて給与を貰うのが『経営学者』。
『経営』を行って報酬を貰うのが『経営者』。
『経営学者』と『経営者』は似て非なるものだよ。」
先生は続けてその違いを説明してくれました。
「『経営学』とは理論・計数・法律など知恵のことだ。一方『経営』とは、人を使う・活かす・育てることだ。
私は悲しいかな知恵は持っているが、人をうまく使うことができない。だから、私は学者をしているんだよ。
仮に私が人をうまく使えて育てることができる人間ならば、経営者をしているよ。」
私はこの話を聞いた時に、弁護士で整理回収機構の初代社長を務めた中坊公平さんの言葉を思い出しました。
『正面の理。側面の情。背面の恐怖。』
人を動かすための3つの要素として、
「正面の理」は、理路整然と道理にあった理詰めの付き合いや指示を出すことを言い、
「側面の情」とは、愛情を持って声をかけたり世話を焼いたりすることを指し、
「背面の恐怖」とは、怠けた場合にどうなるかを示し危機感をあおる。
『経営学』とはここで言うところの「理」であり、『経営』とは「情」「恐怖」である。
『経営者』とはまさしく、「理」を持ちながらも、「情」や、時には「恐怖」を持って、人を活かし育て、動かす人です。
本当の『経営者』とは何であるのか?経営学の先生から学ばせていただきました。
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