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皆様の会社には、どのような管理者がいらっしゃるでしょうか?
【ビジョンを共有し、周りがついてくるカリスマ型】
【部下の強みを引き出し、共に進むリーダー型】
【リレーションシップ重視のボトムアップ型】
さまざまなタイプの方がいらっしゃり、正解はないのかもしれません――。
社会情勢や働く人の価値観が変わり、一昔前の常識は通用しなくなりました。「働き方改革」「多様性」「ハラスメント」「Z世代」「モチベーション」といった言葉が散見され、人が会社に合わせるのではなく、会社が人に合わせる時代となっています。
「指示を聞かず、何かといえば人のせいにする社員がいる。」
「こちらの意図を理解せず、自分のことだけ考えて働いている社員がいる。」
上記のような状況を経験し、上司・部下、先輩・後輩の関係に悩みを抱えている方々も少なくありません。
ここで、アメリカの作家として有名なデール・カーネギーの名著『人を動かす』内の言葉を紹介します。
「人間は自分以外の誰かのせいにしたがる。」
「受けるより、与える方が素晴らしい。」出所:『人を動かす 改訂文庫版』
デール・カーネギー著/創元社
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能力の優劣に関係なく、何かしらの問題が生じた時、人は往々にして誰かのせいにしたがります。これは、人のせいにすることが、自分にとって最も楽な選択だからです。
相手に責任を追及することで、自分の責任が低減されるという心理性もあるのでしょうが、経営者や管理者にこの考え方があってはなりません。子が親を見て育つように、部下も上司を見て育ちます。つまり、部下の行動は今までの自らの行動がそうさせているのです。
相手に理解してもらおうと思った時は、ベクトルを自分に向け、自責の精神を持ってこそ、相手に求められるのではないでしょうか。
自己中心的な考え方の社員も中にはいるかもしれません……。そこで、アメリカの心理学者アダム・グラントが提唱している、人間の思考と行動の分類を紹介します。
GIVER(与える人) ………………… 全体に占める割合25%
TAKER(受け取る人) ……………… 全体に占める割合19%
MATCHER(バランスを取る人) … 全体に占める割合56%出所:『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』
アダム・グラント著/三笠書房
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どの分類が良いか悪いかではなく、自身そして部下・後輩がどこに位置するのかを捉えましょう。
「GIVER(与える人)」は相手に与えるタイプで、人の利益のために行動できる人です。自分の利益に無頓着な「自己犠牲型」と自分の利益還元も考慮する「他者思考型」に分かれます。
「TAKER(受け取る人)」は自己の利益を優先しますが、悪いことでもありません。弱肉強食の競争社会において、自分の生存を第一に考えるタイプといってもよいでしょう。
「MATCHER(バランスを取る人)」は一言で言えばバランス型、GIVERとTAKERの間に位置付けられます。
何かをしてもらったら返したい、何かを与えたら返してくれることを期待する、GIVE&TAKEの考え方を持つタイプです。
価値観にもよりますが、今の時代の管理者は「GIVER」であることが望ましいでしょう。そして、部下・後輩は、初めから人のことを考えて縮こまってしまうよりも、「TAKER」として自分の利益を最優先するぐらいの我欲があってもよいのではないのでしょうか。
一定の経験を積んだ後に、初めて「GIVER」や「MATCHER」へと視座が変わるものです。
あらためて自社の管理者・社員について振り返ると、より良い組織を構築するために何が必要か、目指すべき方向性が認識できるかもしれません。
コミュニケーション、意思決定、問題解決の能力などを向上させ、組織やチームを成功に導く、次世代のリーダーを育成するための実践的なカリキュラムです。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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