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2024年2月22日、日経平均株価の終値は『3万9,098円』と最高値を更新しました。(さらに3月4日の終値も史上初の4万円台と最高値を更新。)1989年12月から実に『34年2ヶ月ぶり』の史上最高値です。『3万8,915円』を超える日がついにやって来たのです。
34年前――。当時の日本はどのような状況だったのでしょうか。
この30年以上前の時代を描写するドラマが現在TBS系列で放送されています。
『不適切にもほどがある!』というタイトルの、実に秀逸で示唆に富むドラマです。
主演である阿部サダヲ氏の言動を通して、2024年(令和6年)の現在と38年前の1986年(昭和61年)を行き来しながら、昭和の文化や流行を時に懐かしく、時に面白おかしく振り返る描写が人気を集めています。
クドカンこと宮藤官九郎氏脚本のこのドラマでは、昭和vs令和の対比が特に注目されていますが、 日経平均株価が史上最高値を更新した今の時期に放送されていることは、この30年間の変化を考える上で非常に参考になります。
昭和・平成・令和と時代は確実に変わりましたが、この30年間で何が変わり、逆に何が変わっていないのか……。主人公のセリフに『賃金が上がっていない』と、昭和と比較して現代を揶揄するような言葉が出てきますが、まさに【賃金】は変わっていないものの筆頭です。
国税庁『民間給与実態統計調査』によると、直近(2022年)の平均年収458万円に対し、30年前(1992年)の平均年収は455万円と、賃金がまったく上がっていないことが一目瞭然です。
にもかかわらず、社会保険料(月額約3万円→月額約6万円)や消費税(3%→10%)は上がり、モノやサービスの値段もどんどん上がっています。
当然、実質賃金は増加どころか減少……。主人公が『令和の時代は可哀そうだ』と指摘するのももっともな話です。
では、今回の日経平均株価の最高値更新は、企業の賃金を上げていくきっかけになるのでしょうか?
実は、30年間の日経平均株価と“企業の利益”はある程度の相関関係を示していますが、残念ながら“GDP(国内総生産)”とはほぼ相関関係がありません。
ここで言うところの“企業の利益”とは最終利益である「当期純利益」を合計したものであり、“GDP”とは中小企業も含む全ての日本企業が生み出した「売上総利益」を合計したものです。「売上総利益」の合計額は増加していなくても、費用を削減すれば、会社の最終利益である「当期純利益」の合計額は増加します。
この「費用の削減」の中には、固定費である賃金を上げてこなかったことも含まれます。
皮肉なことですが、日経平均株価の最高値更新という現象は、「費用の削減」によって生み出された「当期純利益」を市場が評価して生じていると考えるべきでしょう。
結論として、日経平均株価が上がっても、直接的には企業の賃金を上げる要因にはならないのです。
では、今の時代に中小企業は、【働く社員の賃金を継続的に上げられる経営】をどのようにして実現すれば良いのでしょうか?
その問いに答えるのが、この3月から全国で開催する、『【賃上げの魔力】上位10%の中小企業から学ぶ!ほったらかしの昇給・増益マネジメント』セミナーです。
『賃金が上がる会社』と『賃金が上がらない会社』の二極化時代を迎えています。今の時代を乗り切る手法を、中小企業経営者限定でお伝えしますので奮ってご参加ください。
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NBCコンサルタンツ株式会社
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