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家族信託の落とし穴

2020.09.15

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8月25日のコラムでも、お伝えしました「家族信託」。

その効果的な活用のためにも、今日は「家族信託の“落とし穴”」について司法書士の観点からお伝えいたします。

INDEX

家族信託とは何かのおさらい

まず、簡単に復習させていただきますと、家族信託の利用・活用方法には次のようなものがあります。

  • 認知症対策
    →例)万が一、認知症になってしまい自宅を売って施設に入ることを希望する際、財産の凍結を防ぐことができ、受託者が本人に代わって財産管理を行うことができる。
  • 相続対策
    →例)二次相続先、三次相続先の決定や受託者による積極的な財産運用など、遺言作成や後見人制度では不十分な部分を補う。
  • 事業承継対策
    →例)後継者は決まっているが、経営はまだ自身で行いたい場合、株式を「経営権」と「財産的価値」で分けて経営は自身で継続しながら株式は適切なタイミングで承継することが可能。

これらが家族信託活用法の代表的な例です。当然、税務も絡んできますので、一人の専門家では通常は事足りません。

現在、私も認知症対策として2件の家族信託の案件を受託しており、うち1件は銀行の審査結果待ちです。

ここからが家族信託の“落とし穴”の本題です。

信託口口座の開設が難しい

まず家族信託の一番難しい点は、信託口口座の開設です。

信託口口座とは、親に代わって、受託者である子供が財産を管理する場合、子供個人の財産と区別するために開設できる特別な口座です。

この信託口口座、私の事務所がある東京郊外の場合でも、口座開設を受け付けてくれる金融機関が少ないのです。

まず、現時点でゆうちょ銀行・都市銀行は、ほぼ開設できません。

信託銀行の場合、みずほ信託銀行が既存の優良顧客に対して何とか開設可能のようです。

りそな銀行や三菱UFJ信託銀行の場合、自行の信託商品を勧める印象がありました。

一方、三井住友信託銀行の場合、一定要件を満たせば受け付けてくれます。

そのほかにも、西武信用金庫・城南信用金庫も開設が可能のようですが、まだ実例としては確認できていません。

他行と違った対応をしているのはオリックス銀行です。開設は可能ですが、契約書の審査は提携している弁護士か司法書士が行うとのことですので、仮に弊所で契約書の作成となると、その費用がお客様に二重のご負担になりかねないので、今はお引き受けしていません。

このように、信託口口座を開設することは、実は非常にハードルが高いのです。

そのため

  • 契約の内容を不必要に複雑化し、契約書作成報酬を滅茶苦茶高く請求する司法書士がいる。
  • 価格帯は良心的でも、実は契約書作成のみの対応で口座開設までの面倒は見ない。(お金をかけて公正証書を作っても何の役にも立たない)
  • 税務のことを考えず家族信託にしたために、本来受けられる税制上の優遇措置を受けられなくなった。

などというトラブルが発生しています。

NBCグループでは、そのようなトラブルを回避するために、経営コンサルティング・保険・税理士・司法書士のチームで総合的な支援を行っています。

また、複雑・専門的な案件については、外部の弁護士と連携してご依頼に対応しています。

家族信託はメリットの多い制度ではありますが、メリットばかりではなくこのような難点もきちんと理解しておくこと、そして目先の手続き価格に釣られることなくしっかりした専門家を選ぶ目を持っておくことも必要なのです。

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