事業承継コンサルティングとは、事業承継をスムーズに進められるように、専門のコンサルタントがアドバイス・サポートを行うことです。事業承継では、税金や法律関係で複雑な手続きが多いため、専門家のサポートを受けることで、スムーズに事業承継を進められます。
この記事では、事業承継コンサルティングとは何かについて、その支援内容を中心に解説します。事業承継コンサルティングを依頼するメリットや、依頼した場合の報酬相場についても取り上げるため、事業承継を検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
1.事業承継コンサルティングとは?支援内容も解説
経営者の高齢化が進む近年の日本では、中小企業を中心に事業承継を行う件数が増加しています。企業の経営・事業を後継となる次期経営者に引き継ぐ際には、事業承継コンサルティングを活用するなどして、計画的かつ戦略的に進めるようにしましょう。なお、事業承継について詳しく確認したい方は、以下の記事もご参考ください。
事業承継コンサルティングとは、事業承継をスムーズに進められるよう、専門のコンサルタントがアドバイスやサポートを行うことを指します。ここでは、事業承継コンサルティングを依頼した場合に受けられるコンサルティング・サービスについて、詳しく解説します。
1-1.後継者育成支援
事業承継を行う上で、後継者の選定・育成は最も重要なポイントです。後継者は、企業理念や経営方針への理解、事業内容や現場に関する知見、経営に関する幅広い知識が求められます。従業員や取引先などからの信頼や人脈の構築も必要となるため、時間をかけて後継者を育てる必要があるでしょう。
事業承継コンサルティングを活用すると、後継者が企業や事業をスムーズに引き継ぐために必要な能力や、その能力を身につける方法について助言してもらうことができます。後継者候補が決まっていない場合は、後継者選びに関するアドバイスも得られるため、親族外承継を行う場合にも不安なく進められるでしょう。
1-2.計画策定支援
事業承継を成功に導くためには、必要な手続きや行うべきことを整理し、長期的な計画に基づいて実行していくことが大切です。後継者の決定・育成や自社株(自社株式)の承継、経営課題の解決、今後の経営戦略の検討など行うべきことが非常に多いため、状況を冷静に分析して進めていく必要があります。
事業承継コンサルティングに依頼すれば、実施すべき手続きやその方法について適切なタイミングで助言してもらうことが可能です。煩雑な手続きや重要な決定が多い事業承継においても、問題なくスムーズに進められるでしょう。
1-3.税務・法務支援
事業承継では、自社株や事業用資産・資金の引き継ぎも行います。親族内で事業承継する場合には、相続争いなどのトラブルを防ぐため、多方面に配慮した遺言書の作成や相続分に関する話し合いなどが必要となるでしょう。また、事業承継する企業が株式会社の場合は自社株を後継者に集約させる必要があるなど、法務面での高度な知識が求められます。
さらに、自社株や事業用資産を引き継ぐ際には、相続税や贈与税などの多額の税金が発生するため、税務面での対策も必要です。税務面や法務面に強い事業承継コンサルティングに依頼すれば、複雑な税務・法務の手続きを適切かつ効率的に進められるでしょう。
1-4.M&A支援
M&Aによる事業承継を行う場合、事業を引き継ぐ相手(買い手)とのマッチングや、事業譲渡額の決定など、相手と交渉しながら進めることが多くあります。これらを自分だけで行うことは難しいため、M&Aに詳しいコンサルタントに相談した上でサポートしてもらうことが大切です。
事業承継コンサルティングに依頼すれば、M&Aを行う上での支援も受けられます。専門的な知識や相応の労力が必要となる買収監査にも対応してくれるため、M&Aによる事業承継でリスクを避けながら効率的かつ適正に行うことができるでしょう。
事業承継に関する相談については以下からお問い合わせください。
2.事業承継コンサルティングを依頼する2つのメリット
事業承継の手続きは専門的な知識や相応の労力が必要となるため、近年では事業承継のコンサルティングを専門家に依頼する企業が増えています。事業承継コンサルティングを依頼することにはさまざまなメリットがありますが、特に大きな魅力として次の2点が挙げられます。
◆事業承継コンサルティングを依頼するメリット2つ
- 専門的なサポートを受けられる
- 円滑な事業継承が可能となる
ここでは、上記の2つのメリットについて解説します。
2-1.専門的なサポートを受けられる
事業承継では、後継者の選定・育成や事業承継計画の策定、相続税対策など、取り組むべきタスクが多く存在します。M&Aによる事業承継を行う場合は買い手との交渉も加わるため、専門的な知識や相応のスキルがない場合は自力で対応できない可能性があります。
事業承継のコンサルティングを専門家に依頼すると、事業承継に関する専門的で多角的な支援を受けられます。自社の状況に適した専門的なアドバイス・サポートを受けられるため、満足のいく事業承継を適切かつ効率よく行えるでしょう。
2-2.円滑な事業継承が可能となる
事業承継の内容によっては経営者本人が手続きを進めることもできますが、慣れていないため多くの時間や労力がかかってしまうというデメリットがあります。事業承継の計画に遅れが発生すると、事前に考えていたタイミングで事業承継ができない可能性があることを理解しておきましょう。
事業承継コンサルティングを活用すれば、事業承継に関する豊富な知識・経験があるコンサルタントが手続きをスムーズに進められるようサポートしてくれます。事業承継を成功させるためにも、専門家のアドバイス・サポートを活用して準備を十分に整え、円滑な事業承継を図りましょう。
3.事業承継コンサルティングを依頼した場合の報酬相場
事業承継コンサルティングの依頼を検討している方の中には、依頼した場合の報酬が概ねどの程度になるか気になっている方も多いでしょう。事業承継コンサルティングにかかる費用は、コンサルティングの依頼先やサポート内容、プランによって異なりますが、ここでは大まかな報酬相場を紹介します。
◆【依頼内容別]事業承継コンサルティングの報酬相場
(1)自社株の評価
自社株の評価とは、次期経営者に引き継ぐ自社の株式の価格を算定することを指します。相続税や贈与税の金額を算出する材料にもなるため、事業承継コンサルタントの中でも、公認会計士や税理士などに依頼することが一般的です。
事業承継コンサルティングに自社株の評価を依頼した場合の報酬相場は、10万~40万円前後と言われています。株価算定報告書の作成も併せて依頼した場合は50万円を超える場合もあることを押さえておきましょう。
(2)相続税などの申告
相続税など必要な税金を納める際には、自社株の評価額に基づいて適切な納税額を算定し、その金額を申告する必要があります。
事業承継コンサルティングに相続税などの申告を依頼する場合、報酬は相続財産の0.5~1.5%程度となることが一般的です。ただし「相続人が多い」「申告まで時間がない」などの理由から、相場よりも高くなるケースがあることに注意しましょう。
(3)事業承継計画の策定
事業承継計画の策定は、事業の引き継ぎを円滑に進めることに加え、事業承継税制を受けるためにも必要不可欠な手続きです。事業承継計画書の作成に限れば10万~30万円前後で依頼することができますが、包括的なコンサルティングを依頼する場合は100万~300万円ほどかかる可能性もあります。
(4)相続登記などの登記申請
自社ビルなど、事業承継で後継者が相続する不動産がある場合は、相続登記の手続きも必要となります。通常は司法書士に依頼しますが、5万~10万円程度となることを押さえておきましょう。
事業承継コンサルティングへの依頼費用は、コンサルティングの依頼先やコンサルティングを受ける内容、コンサルティングの範囲によって大きく異なります。上記で紹介した金額はあくまでも相場であるため、相場の範囲内に収まらない可能性もあることに留意してください。
まとめ
事業承継を円滑に進めるためには、事業承継コンサルティングを依頼することが多いです。事業承継では税金や法律関係の手続きが多く、自力で進めようとすると、非常に労力や時間がかかってしまいます。また、後継者の育成やM&Aのマッチングでも、コンサルタントの力を借りるほうが、より良い結果につながりやすいと言えます。
事業承継コンサルティングを依頼する場合、依頼内容や依頼プラン、依頼先によって支払う報酬金額が異なるため、必要なサポート内容を見極めることが大切です。本当に必要な無駄のないサポートを受けられるか、しっかりと見極めて依頼先や依頼内容、依頼プランを検討しましょう。
(令和2年度第3次補正事業再構築補助金により作成)
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